- ビンディングの正しい選び方が知りたい
- 形状やフレックス(硬さ)による特徴の違いは?
- ビンディング選びに注意点はあるの?
スノーボードにおいて、ビンディング(バインディング)は板やブーツと同じくらい重要なアイテムです。しかしビンディングは多くのブランドやメーカーから販売されており種類も豊富なので「どんなビンディングが良いのか選び方がわからない」と悩む声をよく聞きます。
この記事では、自分のレベルや目指すスタイル別に適したビンディングの選び方を解説します。形状やフレックスによる特徴の違いについてもわかりやすく解説しますので、ビンディング選びに悩んでいる人はぜひチェックしてください。
ビンディングの選び方で知っておくべき基本知識

自分のレベルや滑走スタイルに適したビンディングを選ぶために知っておきたい基本知識があります。ビンディングの選び方で重要な基本知識として、以下の2点を押さえておきましょう。
- ビンディング選びの重要性
- ブーツとのフィット感が最も重要
ビンディング選びの重要性
ビンディング(バインディング)は、スノーボードの板とブーツをつなぐ非常に重要な接点となるアイテムです。ビンディングは製品モデルごとに形状やフレックス(硬さ)が異なり、各ブランドから非常に多くのビンディングが展開されています。
ビンディングの性能が自分のやりたい技やスタイルに適さない場合、スノーボードのパフォーマンスが大きく低下する可能性があります。ブーツとの相性が悪いと、スノーボードの操作性や快適さも損なわれるだけでなく、疲れやすくなったり不快感や痛みが生じたりする可能性もあります。
ブーツとのフィット感が最も重要

ビンディングはモデルごとに性能が異なりますが、最も重要なのはブーツとのフィット感です。どんなに性能が良く高価なビンディングであっても、フィット感が悪いとスノーボードのパフォーマンスを引き出せません。ライディングの快適性にも影響し、転倒や怪我のリスクも高まります。
ビンディングとブーツの正しいフィット感の確かめ方は、以下の2ステップです。
ヒールカップに正しくハマるか確認する

まずブーツを履いた状態でビンディングをセットし、ビンディングのヒールカップにブーツのかかと部分がピッタリとハマるかを確かめます。かかとがキツい状態やしっかりとハマっていない状態で滑ると、滑走時に足が痛くなり変な癖がついてしまう可能性もあります。
逆に隙間が空いてガバガバの状態だと上手くボードに力が伝わらずボードの操作性が落ちてしまいます。明らかにかかとがヒールカップにハマっていないと感じる場合は、ブーツとの相性が悪いかサイズが合っていません。ブーツかビンディングを別のものに変える必要があります。
ベースプレートにしっかりと収まっているか確認する

次にブーツのソール(裏面)がビンディングのベースプレートにしっかりと収まっているかを確かめます。よくあるのは、ブーツのつま先がベースプレートに収まらず、大きくはみ出している状態です。
つま先がビンディングから大きくはみ出していると、つま先側のターン時にブーツが雪面に当たり、上手くターンができなかったり、身体の重心がズレたりします。バランスが悪くなり、技やスタイルが難しくなることもあります。
逆にベースプレートが大きすぎてブーツの周りに隙間が空いていると、滑走中にブーツが動いて安定しなかったり、ボードに上手く力が伝わらず操作性が落ちたりします。
ビンディングの多くはヒールカップを前後に調整できるので、ある程度はセッティングでカバーできます。明らかに合わないと場合や違和感がある場合は、ブーツとの相性が悪いかサイズが合っていません。ブーツかビンディングを別のものに変えましょう。
ビンディングの形状の違いと選び方

ビンディングはブーツの固定方式によって複数の種類(形状)があります。形状によってスノーボードの操作性や快適性、ブーツとのフィット感などが変わります。ビンディングの主な形状は以下の3タイプです。
- ストラップ型
- ステップオン(ステップイン)型
- リアエントリー型
それぞれの形状の特徴やメリット・デメリットを理解し、自分のスタイルに合う形状のビンディングを選びましょう。
ストラップ型の特徴とメリット

ストラップ型のビンディングは最もメジャーでみんながよく使用しているタイプです。足首周りを固定するためのアンクルストラップと、ブーツのつま先部分を固定するトゥースストラップの2つで足を固定します。ストラップ型のビンディングの特徴とメリットは以下のとおりです。
- フィット感を自由に調整できる
- さまざまな滑走スタイルに対応できる
- ブランドやデザイン、カラーの種類が多い
ストラップを絞める強さを調整することで、ライダーの好みに合わせたフィット感を実現できます。足首とつま先でそれぞれ個別に調整できるので、滑走スタイルやコンディションに合わせて最適なホールド感にセッティングできます。
ストラップ型は現在最も普及しているタイプで、ブランドや製品モデルも豊富です。それぞれの滑走スタイルに適した性能を持つモデルが展開されているので、豊富なラインナップから自分に合うビンディングを選択できます。
ステップオン型の特徴とメリット

ステップオン型(ステップイン型)はストラップがなく、足を踏み込むだけでブーツとビンディングを固定できるタイプです。基本的にステップオン用のブーツとセットで購入する必要があり、ブーツの裏面にあるパーツ(金具)をビンディングにカチッと嵌めることで固定します。
ステップオン型のメリットは、とにかく着脱が簡単で楽なことです。しゃがんだり座ったりすることなく足を固定できるので、リフトの乗り降りや休憩時のビンディング着脱の手間が大幅に削減できます。すぐに滑り出せるので、時間の節約にもつながります。
ストラップ型に比べると種類が少なく、コストが高い点にも注意してください。
リアエントリー型の特徴とメリット

リアエントリー型はハイバックを後ろに倒し、ブーツを入れてからハイバックを起こすことで固定するタイプです。ブーツをビンディングから外す際は再度ハイバックを後ろに倒します。ストラップも付いているため絞め具合の調整も可能で、ストラップ型とステップオン型のハイブリッドのような形状です。
リアエントリー型のメリットは、ステップオン型ほどではないですが、着脱が簡単で楽になることです。さらにストラップ型と同様に2つのストラップがついているので、ホールド感も自由に調整できます。
ストラップの締め具体を最初に調整しておけば、あとはハイバックの操作だけでブーツの着脱が可能です。ストラップ型に比べると時間と労力を大幅に削減できます。
ビンディングのフレックス(硬さ)の違いと選び方

ビンディングは製品モデルごとにフレックス(硬さ)が設定されています。フレックスとはビンディングの硬さ・柔らかさを示す指標のことで、フレックスによってボードの操作性やレスポンス性が変化します。フレックスはビンディングの硬さによって以下に分類されます。
- 柔らかめ:ソフトフレックス
- 硬め:ハードフレックス
- 中程度:ミディアムフレックス
自分のレベルや滑走スタイルに適したビンディングを選ぶには、各フレックスの特徴の違いと選び方を理解することが大切です。(ミディアムフレックスの特徴はそれぞれの中間と考えてください)
※ ちなみにビンディングには「FLUX(フラックス)」という有名なブランドが存在します。硬さを表すフレックスと混同しやすいので注意してください。フラックスとフレックスは全く異なる意味です。
ソフトフレックスのビンディングの特徴
ソフトフレックス(柔らかめ)のビンディングは、ブーツをセットした状態でも足周りの自由度が高く柔軟性があります。主な特徴とメリットは以下のとおりです。
- ボードの操作性が高い
- フリースタイル・トリック向き
- 足がつかれにくい
- 初心者や女子におすすめ
柔らかめのビンディングは全体的に柔軟性が高く扱いやすいため、グラトリやパーク(ジブ)など、フリースタイル系のトリックに向いています。快適性にも優れ足の負担も少ないため、足が疲れやすいという初心者や女子でも1日中快適に楽しめます。
ハードフレックスのビンディングの特徴
ハードフレックス(硬め)のビンディングの主な特徴とメリットは以下のとおりです。
- パワー伝達が強くレスポンス性が高い
- 高速滑走時のサポート力と安定性に優れる
- 荒れた地形でもブレにくい
- 高速滑走・カービング向き
硬めのビンディングは板にパワーが伝わる反応(レスポンス)が速くなるので、高速でのカービングや荒れた雪面でのライディングに適しています。ガッチリと固定されている感覚がありサポート力が高いため、高速での滑走や荒れた地形での安定性に優れています。
【滑走スタイル別】ビンディングの選び方

スノーボードではさまざまな滑走スタイルがあり、やりたい技やスタイルは人それぞれ違います。自分の目指すスタイルで最高のパフォーマンスを発揮するには、適切な性能を持つビンディング選びが重要です。

以下の滑走スタイル別に、最適なビンディングの選び方を解説します。
- グラトリ
- カービング
- パーク
- パウダー
グラトリに適したビンディングの選び方

グラトリ(Ground Trick)は、緩やかなゲレンデで板を回したり、しなりや反発を使ってジャンプしたりする滑走スタイルです。ジブやジャンプ台などは使用せず、ゲレンデの広めの場所でスピンやジャンプをして楽しみます。
グラトリには足回りの柔軟性と操作性が求められるため「軽量」かつ「ソフトフレックス」のビンディングが適しています。柔らかめのフレックスを持つビンディングは足回りの自由度が高く、トリック時の体重移動や微調整がしやすいです。
具体的なグラトリにおすすめのビンディングブランドや製品モデルについては、以下の記事で厳選して紹介しました。

カービングに適したビンディングの選び方

カービングはボードのエッジを使って爽快にターンを描く滑走スタイルです。他のスタイルに比べて、高速でのエッジの切り返しや足首の操作を頻繁に行うため、ビンディングのサポート力とレスポンス性が重要です。
硬めのフレックスと高いレスポンス性を備えたモデルを選ぶことで、高速時にも正確でキレのあるカービングができるようになります。具体的なカービングにおすすめのビンディングは以下の記事で紹介しています。

パークに適したビンディングの選び方

パークはさまざまなアイテムを使ってトリックやジャンプを楽しむスタイルで、最も難易度が高く派手なスタイルです。パークに適したビンディングは、レールやボックスをメインに楽しむジブと、キッカーやハーフパイプでジャンプを中心に楽しむスタイルで選び方がやや異なります。
パークに適したビンディングの選び方はざっくりと以下の表を参考にしてください。
ビンディングの性能 | ジブ | キッカー・ハーフパイプ |
---|---|---|
フレックス | ソフト〜ミディアムフレックス (柔らかめ) | ミディアム〜ハードフレックス (硬め) |
重さ | 軽め | 中間 |
パークではビンディングのしっかりとしたホールド力やブーツとのフィット感が重要なため、調整の自由度が高いストラップ型のビンディングがおすすめです。ジブを中心に楽しみたい人は柔軟で操作性が高いソフトフレックス、キッカーやハーフパイプを楽しみたい人はレスポンス性の高いハードフレックスのビンディングが適しています。
パーク用におすすめの具体的なビンディングは、以下の記事で最新モデルを紹介しました。

パウダーに適したビンディングの選び方

パウダーはふかふかの深雪の上を滑るスタイルで、他のスタイルにはない浮遊感と爽快感を味わえるのが魅力です。浮力が求められるスタイルなので、ビンディングは軽量モデルが適しています。
フレックスはパウダーの滑り方(スタイル)によって適性が変わります。パウダー上でもトリックやフリースタイルを楽しみたい場合は、ソフト〜ミディアムフレックスを選びましょう。スピードを出してパウダーを楽しみたい場合や、急斜面のバックカントリーなどを楽しみたい場合はハードフレックスを選ぶことがおすすめです。
自分がパウダーでどのような滑り方をしたいのかを考慮し、適切なフレックスの選び方を把握することが大切です。パウダーにおすすめの具体的なビンディングは以下の記事で紹介しました。

そのほかのビンディングの選び方
ビンディングの選び方について、以下の2点についても解説します。
- ブランドやデザインでの選び方
- 女子のビンディングの選び方
ブランドやデザインでの選び方

スノーボードのビンディングは、さまざまなブランドやメーカーから開発、製造されており、ブランドによって使用されているテクノロジーや素材、デザインなどの特性が異なります。1つのブランドから複数の滑走スタイルに適したラインナップを取り扱っている場合が多いので、自分の好みのデザインやコンセプトに合うブランドから探す選び方も良い方法です。
ただしデザインやカラーだけで選ぶのではなく、自分のレベルや滑走スタイルに適した性能を持つビンディングを選ぶことが重要です。ビンディングのブランドごとの特徴やおすすめの製品モデルについては、以下の記事で詳しく紹介しました。

女子のビンディングの選び方
レディース用のビンディングについても、基本的には自分のレベルやスタイルに合わせた選び方が一般的です。メンズ用と比べてレディース用のビンディングは、筋力の少ない女子でも扱いやすい用に設計されています。
ウィメンズモデル(男女兼用)もありますが、初心者の女子はレディースモデルから探す選び方がおすすめです。具体的なレディース用のおすすめのビンディングは、以下の記事で詳しく紹介しました。

ビンディングを選ぶときの注意点
ビンディングの性能と適正スタイルの関係を理解することは大切ですが、ほかにもいくつか注意点があります。ビンディングを選ぶときの注意点は以下のとおりです。
- 適切なスタンスに設定する
- ブーツとの相性を考える
- ストラップの操作性も考慮して選ぶ
- ビンディングのサイズ表記に注意する
適切なスタンスに設定する
スノーボードにおいて、ビンディングのスタンス幅とアングル(角度)は非常に重要です。ビンディングのスタンス幅や角度を変えるだけで、スノーボードの操作性や安定性、乗り心地などが大きく変わります。
正しくビンディングがセッティングできていないと、どんなに高性能なビンディングを使用しても操作性や安定性が低下してしまいます。スノーボードのパフォーマンスを最大に発揮するためにも、自分に合うビンディングを選ぶだけでなく、滑走スタイルに合わせて最適なスタンスに設定することも重要です。
ビンディングのスタンス幅やアングルの決め方については、以下の記事で詳しく解説しました。

ブーツとの相性を考える
ビンディングとブーツの相性が悪い場合、フィット感やサポート性が低下し、ボードのコントロールや技のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。足に違和感や痛みが生じる可能性もあり、ライディングの快適性も低下します。
より快適にスノーボードを楽しむためにも、ビンディングの性能だけでなくブーツとの相性も考えてビンディングを選ぶ必要があります。ブーツとビンディングの相性については、以下の記事で詳しく解説しました。

ストラップの操作性を確認する

ストラップ型のビンディングには、ブーツの足首とつま先部分を固定するためのストラップが2つ付いていますが、ビンディングのブランドやメーカーによって、ストラップの操作性は大きく変わります。
特にブーツを取り外すときは経ったままでも簡単にストラップを外せる操作性があると便利です。ビンディングを選ぶときは、ストラップを実際に動かしてみて操作がしやすいか確認してみることをおすすめします。
ビンディングのサイズ表記に注意する
ビンディングを選ぶときは、サイズの表記に注意してください。サイズは「S・M・L・XL」のようにブーツの大きさごとに展開されています。製造メーカーやブランドによっても多少異なりますが、ビンディングのサイズは以下を目安に選んでください。
ビンディングサイズ | ブーツサイズ |
---|---|
S | 25cm以下 |
M | 25〜27cm |
L | 27〜29cm |
XL | 29cm以上 |
ブーツとの相性もあるため、ビンディングサイズの選び方に迷ったときは実際にブーツを履いた状態でセッティングしてみるのがおすすめです。
スノボ初心者におすすめのビンディング
スノボ初心者におすすめのビンディングの特徴は、板の操作性をしっかりとサポートし、初心者から中級者、上級者へと確実にステップアップさせてくれることです。
スノボ初心者におすすめのビンディングとして、以下のモデルをご紹介します。
- 【FLUX】DS
- 【UNION】STR
- 【SALOMON】RHYTHM
【FLUX】DS

ブランド | FLUX(フラックス) |
モデル | DS |
タイプ | ストラップ型 |
フレックス | ミドルフレックス(中間) |
FLUXの「DS」は、スキー場のどんなコンディションにも対応できるオールラウンドモデルです。ボードへの力の伝達効率を重視した幅広のベースプレートが採用されており、遊びやすさを出すための柔軟な動きをサポートします。
クッション性と反発性が高く可動域も広いため、ブやグラトリでの操作性や安定感だけでなく、よりクイックな弾きが可能です。カラーラインナップも豊富なのでどんな板やブーツとも合わせられ、初心者にもおすすめのビンディングです。

【UNION】STR

ブランド | UNION |
モデル | STR |
タイプ | ストラップ型 |
フレックス | ミドルフレックス(中間) |
UNIONの「STR」は、耐久性とレスポンスに優れたコスパの高いビンディングです。ベースプレートが自然な角度で内側に傾いているカントシステムが採用されており、力が入りやすく膝への負担も軽減してくれます。フィット感にも優れている初心者におすすめのビンディングです。

【SALOMON】RHYTHM

ブランド | SALOMON |
モデル | RHYTHM |
タイプ | ストラップ型 |
フレックス | ソフトフレックス(柔らかめ) |
SALOMONの「RHYTHM」は、条件に左右されない優れたフィット感と快適さを備えたオールラウンドモデルです。サポート性とコントロール性を両立した軽量モデルであり、グラトリやフリースタイルの上達を目指す人におすすめのビンディングです。

まとめ:ビンディング選びでパフォーマンスは大きく変わる
ビンディングだけでもさまざまなブランドや種類、フレックスなどがあり、ブーツや板との相性を考えると組み合わもは無数なので、選ぶのが大変ですよね。しかしスノーボードのスキルを上達させるには、適切なビンディング選びが欠かせません。
ギア選びもスノーボードの楽しさの一つなので、最高のパフォーマンスを発揮して存分にスノボを楽しむためにも、一つひとつのギアを真剣に選んでみてください。ビンディングが変わるだけでスノーボードのパフォーマンスも大きく向上するかもしれません。
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